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GS: Valve各チームへのインタビュー (07/10/13)

By Design: Half-Life 2: Orange Box
Orange Boxは様々な体験が一つのパッケージに詰まった素晴らしい仕事がなされているが、これは3つの有能なチームメンバーなしに成し遂げられるものではなかった。そこでGameSpotは、各チームの紹介およびOrange Boxに込めたものについてインタビューを行った。

[Half-Life 2 - プログラマ/デザイナー]
David Speyrer

年齢: 37
趣味: ロッククライミング、日曜大工
好きなもの: フランス、ICOチーム
嫌いなもの: 人工甘味料
好きなミュージシャン: Nick Cave
好きなストーリー: Tim Powers著「幻影の航海」

エピソード形式はデザイン方法にどう影響したか
David Speyrer: HL2と比べ、より小さな範囲を扱うエピソードでは、非常にうまくいくつかのキーとなる要素に注力し実行するための選び方を可能にしてくれる。EP1の注力は相棒としてのAlyxだった。EP2ではその注力を継続した上で、車、Hunter、そして新たな屋外環境を追加した。

我々はまた、開発初期にエピソードの完全な物語の全体像(arc)を描き出すことがHL2のようなより大きなプロジェクトよりも可能となった。つまり全体としての製品に対して、より大幅な修正を行うことが可能となったということだ。ゲームに関する人々の意見感想を読むと、彼らはEP2をプレイするうちにそのことに気づき始めていると思う。つまり20時間もののゲームでは成し遂げられなかったであろうゲームの凝縮感や洗練さがそこにはある。大型のゲームでは、全体的な見直しにかかる費用は本当に高くなることがある。

HLはカットシーンの代わりにスクリプトを用いているが
DS: 我々の相互性のあるスクリプトシーケンスに絡む大きな要素に、プレイヤーがそれを見ていると保証できないというものがある。非常に多くの理由から、とりわけプレイヤーの没頭感を失わせないという理由から、このプレイヤーの自由さを制限させないのは重要であると我々は信じている。結果として、我々が注目して欲しい場所をプレイヤーに見て貰うため、一連のトリックを用いなければならない。また我々は、プレイヤーがそこにとどまって物語に耳を傾けてくれるよう、レベルデザインを行なわなければならない。

EP2では、2つの補足的な物語提供方法を見て取れる。ある時は「あなたの進行に従い」物語を伝えるので、戦闘中や他のキャラと一緒に冒険をしている最中に物語の具体化やキャラクタを作り上げる内容を話す。こうした場合の多くが重要であるが任意のものに過ぎない。なぜなら、プレイヤーは常にプレイヤーが話を聞くべき適切な場所において適切なタイミングでいるというわけではないからだ。また別の場合では、より大きく巨大な物語のイベントを目撃できる場所へプレイヤーを導く。こういった場合は、決まってエピソードの本筋にきわめて重要なものとなっている。

HL2やエピソードのデザイン方法について教えて欲しい
DS: 我々はプログラマ、レベルデザイナー、モデラー、アニメーターといった、制作のあらゆる専門職からなる「キャバル」と我々が呼ぶ小さなチームでデザインしている。我々のコアとなる任務は「デザインする者が構築する」であり、それにより高水準の投資を維持する助けとなる。

我々はゲームの小さな部分に対するデザイン目標の供述から始め、不完全なプロトタイプから完全なデザインが行えるよう、非常に簡潔にデザインの本質のみを保つ心がけを行う。すぐさま我々は不完全なプロトタイプを作成し、その目標を達成できているかを確認するためにプレイテストを行う。プロトタイプでもその体験が面白ければ、我々はよい線にいっていることを理解できる。もし初期のプレイテストでプロトタイプを改善する方法のアイデアが生じたのであれば、そのいくつかを試し、可能な限り素早く再テストを行う。

だから我々のデザイン行程の核心は、多くの反復そして、キャバルの専門知識をゲーム体験に注ぐために全員が全てのプレイテストを見守るということだ。

HL2は物理の重要性を確立したが、HL2シリーズにとって何故それが重要なのか、また将来的なゲームプレイに何を意味するのか
DS: グラフィック的な新特色を帯びたものではない旧来のゲームの見た目を良くする、本質的に根本から相互性のある技術的機会だったので、我々はHL2で物理を追い求めた。また、人々は現実での挙動を基に自然と予測できるため、ゲームへ没頭するという目標ともよく適合した。我々が物理の可能性を理解するにつれゲームの決定的な要素になっていくという、それはゲームの構築にとって肥沃な土壌だったのだ。

グラビティガンはそれの大きな進行役であり、例えば物理パズル、鋸刃、爆発性のドラム缶を投げるといった数々のピースがうまく合わさった際、点火したグレネードをグラビティガンで投げ返すといった、より深みのある技巧へと行き着くことになる。将来的にリアルタイムでの流体力学のようなシミュレートに着手をする際、我々はより興味深い技巧の出現を目にすることになるだろう。また、やがて物理的にシミュレートされた部分とそうでない部分の境目が分かりにくくなり、我々のゲーム世界はますます直感的で相互性を持つようになるとも私は考える。

[Half-Life 2 - リードライター]
Marc Laidlaw

年齢: 47
趣味: ゲームをプレイすること
好きなもの: ミヤモト
嫌いなもの: スターウォーズ
好きなバンド: Camper Van Beethoven
好きなストーリー: Damon Knight著「Down There」

他の書き物とビデオゲームでの物語はどう区別されるとあなたは考えるか
Marc Laidlaw: 書かれた物語では、物語自体が全ての向かう目標となる。それが全てということだ。ゲームでの物語は、体験の中の一面に過ぎない。ゲームの中でも限りなく扱いが小さかったり、全く入っていないことだってある。我々が物語に非常に重きを置いたHLでさえ、複雑な体験の中ではたった一つの側面に過ぎないのだ。

私がValveに加わった当初の目的は、物語の提供を技術と対等な立場にすることであった。モンスターの人工知能や巧みにデザインされた一連の戦闘のように、それなりにクールなものとしての物語の提供技術を見つけ出すために。我々が描画技術で実験したものと同じ方法で物語に対しても試みた。これらはゲームである、ということを念頭に置いて。本でもないし、映画でもない。ゲームだ、ということを。

HL2やエピソードへの取り組み方、一番難しかった点や楽しかった点を教えて欲しい
ML: 我々は共通のビジョンを作り上げることで、あらゆるものに対して取り組んでいる。我々自身がどのようなチャレンジでかみ砕こうとしているのかを判断する。もっとも難しかった部分は、アクティブなゲームプレイとドラマチックな演出の融合を考え出すことだ。つまりゲームが解説部で膠着状態にならないようにし、なおかつ物語が自然と息づき展開するための時間がとれるよう確実にするということだ。もっとも楽しかった部分は、優秀な役者と共にレコーディングスタジオに台本を持ち込み、アニメーターが魔法をかけた後、書き上げたシーンがゲームで命が宿るのを目にすることだ。

大抵のゲームでは少女を救出するが、HL2では側にいがちだが
ML: HL2では、孤独な「たった一人で世界を救わねば」といった取り組み方から、協調性や仲間友人に重きを置く体験へ移行することを選んだ。Gordonの目的はAlyxの目的と非常に一致する。つまりゲームの多くを、Eliがレジスタンスの名目上のリーダーだということを知り、彼女の父の救出に費やすことになる。だからAlyxはプレイヤーの目的を魅力的で人間的で現実的に、まるでAlyx自身のような形で具現化する我々の方法という訳なのだ。

ゲームにロマンスは非常にまれだが、HL2ではどのように
ML: キャラクタがゲーム内で実際の内的な生活のようなものや現実的な期待や不安を持つことはまれだ。世界を救うことに全てを費やせば、信頼関係を築く時間はそれほどない。キャラクタは家族や友人、あるいはプレイヤーと相通ずることのできる何かを持つ傾向が少ない。彼らにはしなければならない目的や任務がある。おそらくロマンスは、キスをすることが目的のChulipsのようなゲームでもない限り、目的主導の環境ではあまり成功しない。我々はキャラクタに、大抵の人々にとって見慣れた信頼関係の基礎を仕込むよう試みている。つまりAlyxには父がおり、彼女の期待や不安はほぼ把握できるし、彼女はGordonをだんだんと親友のように扱っていく傾向にある。それでもなお、ああ、今のところは遊び半分のロマンスに過ぎない(merely flirt with romance)。

[Team Fortress 2 - クラスデザイナー]
Robin Walker

年齢: 31
趣味: ゲームをプレイすること、読書、サッカー
好きなもの: SF/Post-apocalyptic(世紀末後)もの、分隊ベースの戦術戦闘ゲーム
嫌いなもの: ここ20年に書かれた全てのファンタジー小説
奇癖、変なこと: 病的虚言癖
好きなミュージシャン: Bob Dylan
好きなストーリー: Jack Vance著作のものなら何でも

あれだけ多くのクラスを使ったゲームのバランスはどのように
Robin Walker: バランス調整は反復の繰り返しだ。我々は本当に多くのプレイテストを何回も観察し、全ての基礎データを収集する自動システムを使用している。バランスの問題を見つけると我々は解決策を見つけるべくデータを使い、最も適合するものを導入し、また別のプレイテストを行う。

クラスバランスの最も重要なものの一つに、クラスの弱点というものがある。長所に相反する明確な弱点を持たせれば、クラスのバランス調整がずっと楽であることを我々は発見した。例えば、Scoutに対して相手チームがセントリーガンを使えば多くの面倒を起こせる、ということを我々が理解していれば、Scoutにおける戦闘の長所の調整は容易になる。一方Soldierは、最も調整のしづらいものの一つだ。彼には際だった弱点がないからだ。

お披露目するまでには至らなかったクラスはあるか
RW: 内部的には、我々はクラスの要件を満たす役割について話し合うことがよくある。失敗したクラスの長々とした一覧がないとはいえ、我々が試したことのある様々な役割はある。PyroやScoutといったいくつかのクラスでは、最も適しているものを見つけるまでにいくつかの役割を持たせたことがある。例えば失敗した役割の例を挙げると、TFCのScoutを見てみて欲しい。そのクラスは戦闘を避けるよう性格付けされた役割を持っている。TFのゲームプレイは戦闘を中心としたものとなっているので、ゲームの核心から外れたものに注力をするという時点で、既にその役割がよくない出発点から始まっている。

何がよいクラスにするのか
RW: 他のクラスとは相対的な、独自の役割を持たせること。それにより、独自の目的や行動を持てる可能性が出てくる。その役割をクラスが遂行できる、武器や能力を持たせること。他のクラスや状況が彼に恐れを抱かせる、中核となる弱点を持たせること。ゲーム全体を通して決断を必要とさせる興味深い要素を付加するような、彼の武器や能力に弱点を持たせること。

TF2への取り組み方、一番難しかった点や楽しかった点を教えて欲しい
RW: 最も難しかった部分はクラスのバランス調整だ。これは長期的な問題であり、絶対に終わることのない作業だ。なぜなら我々には、発売後も新たな特色を追加し続ける計画があるからだ。最も楽しかった部分は、面白い方法でデザイン問題を解決するアートの方向性を使った、ちょっとした特色にある。例えばSpyの紙のお面や死亡時のカメラで肉片を指す矢印は、追加するにも反復するにも非常に楽しかった。

[Team Fortress 2 - アーティスト]
Charles Brown

年齢: 35
趣味: 料理、読書、プログラミング、ビデオゲームにボードゲーム
好きなもの: 協力(co-op)ゲームとマルチプレイのゲーム
嫌いなもの: 嫌がらせするプレイヤー/チーター
奇癖、変なこと: チャーリーブラウンのボーリング玉を持っている
好きなミュージシャン: ビートルズ
好きなストーリー: Jack Vance著「魔王子」

TF2を写実的でない独特の視覚様式にした理由は
Charles Brown: TF2のゲームプレイがアートの方向性を後押しした。TF2の武器は多様であり、プレイヤーや世界観に対するその効果は誇張されたものとなっている。TFのプレイ中、ユーモアのあるシナリオをよく思いつく。だからリアルな見た目を使ってゲームプレイと格闘するよりも、我々は様式的なアートの方向性を以て補完する決断を行った。

この見た目はどこからインスパイアされたのか
CB: J.C. LeyendeckerやDean Cornwell、Normal Rockwellといった人物からインスパイアされた。彼らの20世紀初頭から中盤にかけてのコマーシャルイラストレーションの様式は、我々の1960年代の工業デザインを補完するものであった。つまりそれは、我々のキャラクタや世界観の基礎的要素を築き上げるものだったのだ。それに加え、我々は宮崎駿のアート様式、とりわけ彼の流れるような筆づかいや色彩の選択にも影響された。

ゲームのリアリズムは過大評価されすぎと思うか、またカートゥーン的な視覚様式の利点欠点は
CB: アート様式はゲームのデザイン問題を解決するはずである。アートをそのように考えると、つまり単なる主観的な選択としてではなく、手段として考えると、ある程度のゲームデザインはリアルな見た目でよい働きをするし、他のものは様式化されたもので恩恵を受けるということを意味する。

TF2への取り組み方、一番難しかった点や楽しかった点を教えて欲しい
CB: どのマルチプレイゲームにおいても最も重要な要素はプレイヤー自身であるので、そういったものとして、キャラクタは我々の第一の焦点となる。目標は、一目で簡単に理解でき、なおかつ陳腐でない能力を持つ野心的なキャラクタをデザインすることだ。

付加的なゲームプレイや表現の制約はこれを難しくさせたが、実りの多い作業だった。ある程度のアート問題は技術によって解決した。例えば、フォンやリムライティングシェーダをキャラクタモデルへと適用した際、その環境から「ぱっと」浮き出る助けとなる。他の問題はデザインで解決した。キャラクタが視界に入った際、プレイヤーはすぐさま相手のチーム、クラス、意図を判別できなくてはならない。チームの判別は暖色と寒色の使用で、クラスの判別は意図的に独特な輪郭の形状を持たすことで、そして意図は手に持っている武器を通じて判別するよう、キャラクタの読み取り序列(read hierarchy)に支配されるデザインとなっている。デザイン選択の組み合わせと技術により、機能性があり楽しいキャラクタと世界観の創造の助けとなるのだ。

[Portal - レベルデザイナー]
Kim Swift

年齢: 24
趣味: ビデオゲームのプレイ、なのは当然ですが、さらに一つ出すと、今、奇妙な動物のぬいぐるみを作ってます
好きなバンド: Bad Religion
好きなストーリー: Douglas Adams著「銀河ヒッチハイク・ガイド」
好きなもの: Team Fortress 2と子犬
嫌いなもの: 自分の嫌いなものを見つけ出そうとすること
奇癖、変なこと: ゲーム業界で働くことは、少なくともちょっと変わっているんじゃないでしょうか

Portalの前身は学生のグループによって作成されたが、現在の姿になってOrange Boxへ入ることになったのは
Kim Swift: 2年前、(ライターであるErik Wolpawを除いた)Portalチームの全員がデジペン工科大の学生でした。ゲームクラスは毎年、履修条件の一つとして一からゲームを作る必要があります。卒業年のプロジェクトとして、私達はNarbacular Dropというゲームを作りました。それがPortalの前身にあたるものです。

毎年デジペンでは、卒業生のための就職説明会が開催されます。そこでは卒業生のプロジェクトや経歴を見てもらうため、あらゆる種類の開発者が全国から集められます。Valveからは2名ほどが立ち寄り、Narbacular Dropを見て、Gabe Newellにゲームを実演するよう私達を誘いました。15分ほど後、Gabeは私達を止めて「卒業後は何をするんだい」と聞き、その場でチーム全体をSourceエンジンでNarbacular Dropを基にしたゲームを作る仕事を提供するのです。

心臓が止まる思いをした後、私達全員がその機会に乗じ、Portalの制作を開始しました。2年後、私達は2本のBest Games of the Yearと共にOrange Boxへ同梱されるという、最高の名誉を手にするのです。

ゲームに馴染むにつれスムーズに難易度が増していくが、その調整は
KS: プレイテストをして、プレイテストをして、プレテストをすることです。開発中は毎週、ゲームを最初から最後までプレイする新しい人を呼んできます。私達はゲーム終了後に彼らに質問事項を埋めて貰うだけではなく、プレイ全体を観察します。誰かのゲームをプレイするのを観察することは、非常に価値のあることなのです。その人がハマっていたり、楽しんでいるかは非常に明白です。プレイヤーをどのように教え込み、いつ難易度を上げればいいのかは、私達のプレイテストに委ねられています。

非常に風刺的なユーモアあふれるゲームだが、何を参考に
KS: 私達Portalチームの全員がかなりひねりのきいたユーモアを持っているようで、そのユーモアの一部がゲームの中核にしみ出ているように思います。他の部分は、GLaDOSの現実離れした音声のモノローグを書き起こした私達の偉大なるライター、Erik Wolpawによるものです。

私達がゲームに着手をした当初は、プレイヤー以外のキャラクタや物語はあまりありませんでした。ゲームに非常に孤独感を感じるという反応を得たので、Erickに相談し、その隙間を埋める助けに応じてくれました。プレイヤーが会話部分に価値を見いだしていることは非常に光栄ですし、多くの人々が作業の手を完全に止め、GLaDOSのコメントに笑うことでしょう。

Portalへの取り組み方、一番難しかった点や楽しかった点を教えて欲しい
KS: Portalのデザインは本当に共同作業であり、繰り返しの過程でした。例えば、マップを作るためにチーム全員が会議室に集まり、ホワイトボードに私達がやってみたいゲームプレイのアイデアを書き出します。私達の一人がすぐにマップを作成して何日か走らせ、それから今までそれを一度も見たことがない人を連れてきてプレイさせます。プレイテストによる私達の観察に基づいてマップを作り直して、全員の意見の一致する変更を全て行い、また別の人でプレイテストを行います。洗い流して繰り返す(rinse and repeat)!

Portalのデザインで最も楽しかったことの一つが、私達が思いもしなかった方法でレベルをプレイする人を観察することでした。多くの場合、それを見ることで私達に新たなパズルや技巧を思いつかせてくれました。

[Portal - プログラマ]
Jeep Barnett

年齢: 25
趣味: ゲームをプレイすること、作曲、料理
好きなもの: 風刺、精神的チャレンジ
嫌いなもの: 泣き言を言う人
奇癖、変なこと: 年に一回、自分の頭を剃ること、(自宅にも携帯も)電話がないこと
好きなミュージシャン: Squarepusher
好きなストーリー: Socks for Supper

Narbacular DropやPortalのアイデアはどこから
Jeep Barnett: デジペンの私達のチームは毎年、クラスプロジェクトとしてゲームを作る必要があった。卒業年のゲームについてアイデアを出し合うのに数ヶ月を費やしたが、継ぎ目のないPortalの映像効果はそういった構想のいくつかの要素だった。Narbacular Dropはそういったアイデアの組み合わせであり、Portalの核となる機構へ組み込まれたものだ。最終的には私達がPortalで活かしたゲームプレイのアイデアとして、構想の実証がなされた。

このゲーム特有のプログラミングのチャレンジとは
JB: ゲームへ追加するどのような要素でもPortalとの整合性をとる必要があり、しばしばずっと大きなシステムであるSourceエンジンを完全に把握しなければならなかった。レンダリングからオーディオ、AIに至るまであらゆるものがPortalに順応するよう調整されている。

最も大きかった作業は、物理エンジンの調整だった。プレイヤーが静的環境へ動的に穴を開けられるようにし、またリアルタイムに衝突判定の変化を処理しなければならず、反対側のPortalにあるオブジェクトとお互い自然な挙動で衝突させる必要があったのだ。精度とパフォーマンスを改善させるため、何回かコードを書き直した。

それから本当に変わったことがあった。標準的なユークリッド空間では、「あるオブジェクトそれ自身と衝突したらどうなるか」といった問題は無視できる。Portalだと、最短距離での2点間が常に直線であるとは限らない。もし、プレイヤーの足が床のPortalを通って反対側の壁に触れたとすると、その壁が床であるかのようにその上に立てるようにする必要がある。そうしたチャレンジに対しては、まず、Portalが現実の世界ではどのような挙動をするのかの予想を立て、それからその挙動と一致するようゲームへと取り入れた。

Portalでは部屋から出ると同時に入ることも可能だが、どうやってこういったゲームを把握できるように
JB: 人間の脳というものは、新たな法則下においていかにうまく順応するものかと驚きを禁じ得ない。例えばチェスプレイヤーは、各駒の行く先を知覚して盤上の駒の先を読む。同様にPortalのちょっとした実施体験をした後であれば、誰でもPortalを使用して自然に部屋を行き来できるようになるはずだ。

実際にPortalへ手をつけるよりも前に、さらにはNarbacular Dropよりも前に、私達はシンプルな二次元のPortalのデモを作成した。それをプレイすることで、運動量はPortalを通ってどう伝達されるのかといった、より高度なPortalの構想を立てることが可能になった。

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The Final Hours of Half-Life 2 Japanese
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