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RPS: Erik Wolpawとのインタビュー (07/10/31)

RPS Interview: Valve’s Erik Wolpaw
Rock, Paper, ShotgunはPortalの脚本を手がけた作家、Erik Wolpawに対し、Valveでの仕事について、GLaDOS誕生のきっかけ、ケーキとは何なのかについてインタビューを行うことができた。以下、そのインタビューからいくつかを挙げる。例によってネタバレを含んでいるので、Portalをクリアしてから読むことをおすすめする。

ゲーム向けの執筆で最も難しいことといえば
Erik Wolpaw: ストリップ劇場では、ストリッパー達の間で話をつける仕事を受け持つ男がいる。彼はそれを面白く、熱中できるよううまくやり遂げる努力をするのだが、そこにいる者達は、ただ単に裸を見に来ているに過ぎない。そこに我々が「アナロジー(類推)」と呼ぶ、プロのライターの技がある。つまりゲームライターとは、裸の女性とストリップ劇場との間で話をつける人間と同義であるということだ。誰もその人間がすることに気をかけないし、気にかける者はおそらくちょっとした変わり者だろう。だからゲームライターになることで最も難しいのは、「アナロジー」のような執筆の技を学ぶことに他ならないと言えるだろう。

Valveに加わった当時、何の仕事をすると思っていたか
Erik Wolpaw: 数週間で首になるために大部分を費やすことになるだろうと思っていた。実際に意味のある貢献ができるまで私を追放する権限を持つ者に100%知られないという環境を作ったValveの分権的経営組織、そしてPortalとTeam Fortressには感謝したい。

TF2の宣伝映像は誰のアイデアで、どうやって思いついたのか
Erik Wolpaw: 正直、誰のアイデアだったか。いや、思い出した。私だ。ちょっとしたジョークだ。ここで働き始め、多くの悪口をたれるのをやめる前の自分だったら、それは大げさで現実的ではないもの(fake-ass marketing-ass Bigfoot-ass legendary bullshit)なんじゃないか、となる位、Valveは「この共同デザイン過程」とか「その共同デザイン過程」について非常に多くを語る。ただ、神に誓って、それを私自身の目で見てきた。私の少ない経験から言っても、Valveは最も協調的な創作環境であると。だから最高のTFキャラにしたいという、短期間でのValveにいるほぼ全員の欲求の増大は、ゲームの枠を超えることを可能にした。我々はHeavyを概念実証として使い、いわば我々自身の自制をはずし、いっきに他の8つを進める決断を行った。

EP2やPortalでは物語により重点が置かれているが、疎かにされてきたジャンルでなぜそこまで重要だと考えるのか
Erik Wolpaw: ゲームの擁護をするのであれば、ライオンキングやAugust Strindbergの書くすべてを含む、劇の脚本(writing in plays)は100%まったくのくずであることを指摘したい。彼らはほとんど宇宙人の兵士(space marine)を扱っていないという利点はあるにしても、我々はそれよりもうまくやっている。

つまり、たいていのゲームはストーリーをごまかしているということだ。それはなぜかというと、率直に言えば、彼らはそれができるからだ。誤解しないでほしいのだが、私はよく書かれた脚本のゲームは大変好きである。ただ、自分に都合よく考えるつもりはない。よいゲームに駄目な脚本であっても、程度の差はあれ、おそらく大体はよいゲームになるだろうということだ。つまり、Precious Momentsの特別版聖書はイラストが載っていることで余分な価値を得られるが、たとえそのすべてを完全に取り去ったとしても、その価値を失うことはない。それでもそれが聖書であるからだ。

GLaDOSについて教えてほしい
Erik Wolpaw: 我々は消滅させられることのなかった敵対的な性格にしたかった。つまり、GLaDOSがまくし立てロケットを撃ってくるというのは非常に古典的だと思うのだが、彼女はまたある意味、協力的でおかしく、時には少し悲しがったり怖がったりする、ということだ。あなたはゲームをするうちにGLaDOSのことを分かるようになり、そしてうまくいけば、自分の行動により彼女を感情的にきっちりと締め上げているとの感覚を得られる。楽しみながら感情的な痛みを彼女へ与えることができる、という充実した時間を我々は提供する。それにより、ただ単に彼女の排気口に爆弾を投げ込んだりなどするよりも、ずっと多くの満足感を得られるものだと思っている。とはいっても、彼女自身は何も感じていない、というわけではない。彼女は非常に苦痛を受けているような台詞をいくつか口にしているし、正直、この異常な関係は双方にとっても不健全であることは非常に明白である。

Portalの目玉はその異常な関係での展開だが、GLaDOSの思考はどう移り変わるのか
Erik Wolpaw: ゲームは非常に明確に序盤、中盤、終盤となるようデザインされている。我々は各時点でGLaDOSの性格が変化するようにしたかった。彼女はまず、Aperture Scienceという企業の顔を持つ協力的な(だが徐々に悪意の出てくる)音声で始まる。その時点では、彼女は一般的なApertureの考え方を主として述べている。あなたが脱出した後、彼女は初めて自身のことを話す。彼女は「私達」よりも「私」のことを口にし始める。そこでは彼女はより無鉄砲になり、制御をいくらか失い、音声にずっと多くの感情が入り込む。そして最後の部屋であなたはモラルのコアを破壊し、部品が外れていくと、彼女はほぼ人間的な抑揚の声に切り替わる。我々がタレット用の音声を探っていたとき、(声を担当する)Ellenは「官能的な」バージョンを演じた。タレットにはうまく合わなかったが、我々はそれを非常に気に入ったので、それを少し調整したバージョンをGLaDOSの最終段階の雛形にしたのだ。

それに、なぜケーキなのか
Erik Wolpaw: さて、今あるゲームにはたくさんのメッセージがこめられている。例えばイラク戦争で暴露すべき非常に重要なものが隠されていたり、プレイヤーにとある危険な水面下でのモラル選択を迫るものがある。実のところ、考えるべきことは山ほどあるのだ。それを念頭におき、我々はPortalの開発過程の手始めにどのような哲学者や哲学の分野を基にしたゲームにするのかを決めるため、全員が集まり席に着いた。15分あまりの沈黙のあと、ケーキは多くの人に好まれるのではないか、と誰かが発言した。

誰もが恋に落ちる加重コンパニオンキューブはどうやって作ったのか
Erik Wolpaw: それはすべて我々のプロジェクトリーダーであるKim Swiftによるものだ。それにハートをつけるというアイデアは、彼女の意見だ。すると、バーン。それは直ちにかわいげのあるものとなる。

エンディングに歌があるゲームはあまりない。特に明るい曲で暗い歌詞のものはなおさらだが、上司にどう説得したのか
Erik Wolpaw: 確かにそうだ。歌が入っているエンディングがあるゲームは十分にない。それは神の手によるものであるし、それほどまでにすばらしくある多くの理由のひとつがそれなのだ。私はゲームプレイヤーとして、ボス敵が歌いだすほどにめちゃめちゃにそいつを倒すことが常々私の夢だったのだ。去年Kimは、Jonathan Coultonのmp3を何曲か添付し、彼をValveに招きたいと書いたメールを送ってきた。彼が何をするのかを正確に知るものは誰もいなかったと思う。もしかしたらGabeがPS3のことで言っていた、Team Fortressのジングルかバラードを作るのだろうかとか、本当のところ、何も知らなかった。我々が知っていたのは彼はすばらしい人だということであり、彼と話したかった。

Kimと私は彼に会った後すぐ、彼はGLaDOSの作詞をするのに完璧な感性を持ち合わせていることが明らかになった。我々はチームの他のメンバーと話し合い、同意をしてくれた。それから実際に金銭の都合をつける人間と話をしたのだが、当然のことながら、彼らは我々よりも少しばかり懐疑的であった。それは彼らとValveの過程の信念ではあるのだが、彼らは我々にチャンスを与えてくれた。

EP2(訳注:TF2?)とPortal共、今までのHLにはなかったおかしさがあるが、ゲームに喜劇的要素が大きく占めることをどう思うか
Erik Wolpaw: ValveのJason Mitchellが行った、TFキャラをデザインする際に体験した過程に関するプレゼンは見ただろうか。すばらしいものだ。この質問に答えられる地位にいればよかったのだが、私にはあまり洗練された理論はない。基本的にすべてのゲームはもっとおかしくあるべきだと考えている。あらゆる映画や本や食べ物に対してもだ。劇に関しては何も言わない。これからもうんざりさせ続けてくれるように。

Valveのデザイン方針は度重なるプレイテストだが、取り組みにどう影響したか
Erik Wolpaw: 先ほど示唆したように、歌にGLaDOSを割り込ませる類に挑戦できるし、そのアイデアが通用するかどうかを判断する客観的な作業に、会社の誰もが確固とした信条を持っている。テストへ注力するというアイデアはいわば議会主義的にデザインが決められるようなもので、創造性に欠ける雰囲気がある、と考える人々がたくさんいることは知っている。しかし、少なくともValveで習慣的に行われている方法は、完全に開放されたものであることに私は気づいた。リスクのあるアイデアの導入やテストはデザイン過程の中で必要不可欠なものであれば、人々はもっとそれを進んで挑戦しようとする。

Valveは製作期間が長く、EP3以外何も発表していないが、次は何を受け持つ予定か
Erik Wolpaw: ちょっと待ってくれ。先ほどのゲーム向けの執筆で非常に難しいことに関する質問にはまだ回答し終えていない。例えば、劇の脚本を書いているとする。100%くずであること以外何物でもないと期待する者は誰一人としていないため、プレッシャーはまったくない。よってゲーム向けの執筆は、劇の執筆よりも明らかに困難なのだ。自分自身の名を書くことは劇の執筆よりも困難であるのだが、それはまた別の話なので、あまりよい比較とはいえない。さあよし、調子が出てきたぞ。もし読書が大変だと考えているなら、執筆してみるべきだ。さらに困難であることが分かる。それでもゲームの執筆よりは楽なのだが。純粋に視覚的に飛び出てくる部分を除けば、本というものはほぼすべてが言葉でできている。小説家は適当な一連の単語を少しばかり考え出すだけで、あとの98%は多かれ少なかれ手当たり次第の描写と感嘆符を本にちりばめておけばよい。ゲームでは、その98%のがらくた部分は実際のゲームでできている。さらにゲームライターにとって悪いことには、ゲームの98%のがらくた部分は、一般にがらくたですらない。ベルギーの歴史を読むという退屈なものの代わりに、「読者」はCamaro(GM社の車)で恐竜を飛び越えているのかもしれないからだ。それはつまり、残り2%の言葉の部分を本当に、本当にスペクタクルにしなければならないというプレッシャーがあることを意味する。それは大変な作業なのだ。

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