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RPS: Gabe Newellとのインタビュー (07/11/21)

RPS Exclusive: Gabe Newell Interview
Rock, Paper, Shotgunはインタビューで会社としてのValveの本質を議論しており、その気風と可能性、GabeがPortalチームを雇用した本当の理由、Steamの未来像、オンライン流通、今までのあらゆるゲームをダウンロードできるようにすること、Gabeのidでの手始め、Valve以外に考えていた社名などについて触れている。

Valveを慈善会社と考えているか
Gabe: 私は普段そのようには考えていない。我々は自身を非常にコミュニティに根差したものと考えており、コミュニティの一部として役割を担っている。つまり、宣伝を担っていようが、レベルを構築している人間だろうが、何であろうが誰もが自分の役割を持っている、ということだ。我々はそのコミュニティの上に立ち慈善活動をしているというよりも、その一部であるような気がしている。

コミュニティの上に立って慈善活動をするほうが楽なのでは
Gabe: そうだ。だが、私はそれは危険なことではないかと考えている。我々全員がファンからの出だ。その視点をゲームデザインに取り入れることで、とてつもないパワーを発揮する。本当に何かしら作りたいという欲求は、人々の時間や金銭に値するものなのだ。またそれは、あなたの持つ好機が如何に少ないかを感じ取ることにもなる。あなたが「さて、君はそこでそんな素晴らしい働きをしたのに、その後数年間、好機を無駄にした」と言えるような業界の人々を、我々全員が知っている。彼らは共同で何かしら作り出しはするが、その生涯の二、三年を無駄に過ごすことになる。

我々はまた、今までに恵まれてきた驚くべき幸運を今後も生み出せるよう尽力しているし、それは我々を支援してくれた全員に役立つものとなる。

するとその慈善活動の立ち位置に戻るが…
Gabe: より平等主義的なものであると考えており、我々自身を他の全員と溶け込んでいるものと見ている。我々にはこうしたタイプの娯楽体験を築くための共有化された欲求があるし、誰もが何らかの手段で貢献を行っている。DSL回線を使用して自宅外にある自分のPCでサーバを走らせている人間は慈善活動をしているが、我々はこうした人間全員の仲間であるし、それがゲームデザインに必要なのものなのだ。

そこに著者はおらず、ディレクターの頭に浮かんだ映画に関して映画人が独り言を言うフィクションもないし、そのビジョンと関連づけるため、スクリーン上で目にする人間があなたの務めとなる。それをビデオゲームで考えるとすると、とんでもない方法になる。なぜならそれは共同作業によるものだからだ。あなたにはこの主演男優がおり、脚本は持っていない。でも十分な時間がなければ、あなたが何をしているか考えようが関係ない。彼と関わるあなたの能力だけが大事なのだ。あなたは共同作業に注力しなければならない。あなたはゲーマー達との興行をオーサリングする、その分担作業に注力しなければならない。そのデザインの取り組み方は、コミュニティの一部であるという我々の感じ方とも同様に一致すると私は考える。

Valveのデザイナーと話すたびに人を関与させるそのデザイン法がよぎるが、コミュニティに根差し続ける一環なのか
Gabe: そうだ。ここにいる誰もがValveで初めて何らかのものを作った際、それをプレイするために実社会の人間がやってきてそれを監視しなければならなかった、という話を持っている。そこには「ああ、奴ら間違ってやがる」という最初の否認(denial)があり、その後、実際のプレイヤーを前にして如何にそのコンセプトが貧弱であったのか、というある種の嫌悪に陥る。それからエリザベス・キューブラー=ロスの「死の五段階」というものがある。取引(bargaining)、怒り(anger)、抑うつ(depression)、それから容認(acceptance)、というものだ。あなたは最終的に、人々がプレイした際の体験を吸収することが如何に大事であるのかに気づくことになる。

Valveがそれほどまでに成功する理由は、またそれを行える自由とは
Gabe: 我々にはもちろん自由がある。プロジェクトを完成させるには実際のところ20%~30%の作業が残っている状態で、「オーケー、じゃあ発売しよう」と言っている段階にあるゲームが数多くあると思う。上場企業には四半期毎の目標達成という計り知れない圧力があり、またゲーマーではない人々にとって、さっぱり理解できないことがある。彼らは、完成したゲームと「ほぼ完成した」ゲームとの違いが分からない。彼らは、何故開発者が延期を続けるのかを理解しない。彼らは「致命的なバグでも抱えているのか」と言い、もし相手がノーと言えば、それを発売することになる。彼らのボーナスはその四半期の目標に基づいて決められ、とにかく彼らは翌年のどこかで休暇を取ることになる。

ここでは会社が外部に所有されていないし、我々は外部からの財政的支援を受けておらず、ここで働く誰もが会社の一部として認めており、会社に長期的な関心を抱いている。彼らは我々が行うことの長期的な成功に関心があるに過ぎない。きちんと物事を正すことの出来るその自由は、ゲームを通してプレイでき、クラッシュしないと言うだけで、なんというか、それ以外の何物でもない、ということを我々に認識させてくれる。それは単に間違ったことを正すという安定した基盤があるに過ぎず、すぐに発売できる状態にあるもの、ということではない。それはただ、物事を正すための重要な任務を請け負う、ということであるに過ぎないのだ。

全て内製か
Gabe: うーん、音楽は内製で、アートは内製で…、我々は外部の声優を使っている。そして我々は、内部でそれを演出する。

Portalチームの雇用の話を聞き、あなたのインディーズゲーム界に対する考えに非常に興味がわいた
Gabe: ゲーマー達がおそらく理解しているのは、ゲームのチームがお互い協力し合うことが如何に重要であるかということだ。チームが如何に最初のゲームをうまく作ったとしても、次やその次にはさらにずっとよい働きを行うことになる。頼るべき共通の体験を持つチームにはそれほどまでの価値があり、そうした若者達を見た私の反応は、彼らがその途方もないことをなしてきたものだったのだ。私はそういったトレードショウの全てに行き、単調で退屈な、独創性のない、精細に欠いたゲームの全てを目にし、その若者達は、私が目にしたゲームプレイの98%よりも優れたことを成し遂げていた。彼らが再びお互いに取り組むことがなくなってしまうのなら、それは悲劇的事件だ。彼らにはお互いに取り組み、完全体のゲームを発売する好機が必要だった。もし最初からそのワクワクできるゲームにすることが出来るのであれば、それは今後、成し遂げられることではないのだ。結局それは、非常によい考えだということが分かった。

確かに。今まではうまくいかなかったのか
Gabe: そうだ。Sourceエンジンでのゲーム(platform game)を作るために我々と共に取り組む会社があった。我々はその会社を組織内に構え、指導教育などを行っていた。彼らはかなりの独立性を維持することを強く欲した。外に出て高価な施設を手に入れ、多量の人員を雇用し、それからすぐに倒産してしまった。非常に悲しい事だった。彼らはゲームを作ることよりも、大きなゲーム会社のように振る舞うことに興味を抱いていたようだったので、我々は失望した。彼らは返済のできない手形を切っていた。だからそうだ、倒産したのだ。

契約したいチームはあるか、そのチームを逃したことは
Gabe: うーん、正直に言えば、チームというよりも、個人だ。我々はずっと、Michael Abrash(id Software、Dr. Dobbs Journal誌、RAD Game Tools)を雇おうとしている。私は彼に非常に大きな敬意を抱いているし、非常に頭の切れる人であると私は思っている。四半期に一回くらいは我々がディナーへ連れて行き、「ここで働く準備はもう出来たかい?」と私が言う。いつかは…(笑)

Steamへ移行してから優れた人材のスカウトは楽になったか
Gabe: あー、Steamよりずっと以前にしたことがある。我々はある意味、90年代半ばに(id Softwareの)John Carmackが行った、人材をスカウトする一員だった。私はその時マイクロソフトにいて、我々が今の地位になる際、(idの)その人達の世話になった。私と友人はテキサスへ行って売り込みをかけ、Johnは「ここにQuakeのソースコードがある。これで何かしら面白いものを作ってみてくれ」と言ったのだ。それはデジタル流通が始まる、ずっと以前のことだった。

idは技術に特化したエンジンを作るが、Valveはどういう方向性を
Gabe: それは優先順位の問題だ。つまり、(idの)John達は非常に優秀な仕事をしている。我々は何かしら有用なものかを判断する際、ゲームプレイと結びつける。最終的に何にするのか、兼ね合いを考えなければならないのだ。無尽蔵の時間と資金があれば何でも出来るため、一度に全ての方向性へ拡充できるだろうが、実際のところそれはあり得ない。我々はシェーダーパイプの作業に費やせばいいのか、人工知能に取り組めばいいのかを判断する。つまり我々自身の過程を言い表してみるならば、「ユーザがゲームを立ち上げるところから考えてみよう。彼らは何を体験し、どう感じるのか」となる。そこから派生する技術的見地から、すべきことを判断する。

(ここでインタビューは中断し、先月RPSの賞品として送ったHL2本にGabeがサインをする。インタビュアーはRPSに関する雑談をする)

Gabe: あなたの所はうちでも有名だ。ちなみにRock, Paper, Shotgunは素晴らしい名前だ。

それに行き着くまで多くの名前を検討した
Gabe: 我々はよろしくない会社名や製品名を数多く目にしているが、それは名前として素晴らしいものだ。

ありがとう
Gabe: ひどい名前の話といえば、我々はValve以外にも名前を考えていた。ひとつは「Fruitfly Ensemble」(果物にたかるハエのアンサンブル)だ。もう一つは「Rhino Scar」(サイの傷跡)で、視覚的に面白いものだった。(Gabeは胴体中央に丸い穴が開いている、曖昧で漫画的な人間の輪郭を描く。実際の画像はインタビュー原文中程にある、ペンでノートに書かれたもの。画像クリックでフルサイズが閲覧できる)こいつが走り回ることになっていたかもしれない…、が、そうではなく、Valveとなった。

Steamによって開発方法はどう変わったか
Gabe: それが製品開発側のものであろうがサポート側のものであろうが、ユーザとの距離を縮めてくれるようになったもの全てが利益となっている。初期の頃、大いに有益だったものはハードウェア統計だ。我々はMicrosoft of EAとのミーティングに参加でき、彼らは「君達はユーザのPCにある情報を我々よりも持っているな」と言うことになる。インテルは定期的にハードウェアサーベイに追加されるべき案件をEメールしてくるようになる。

ゲームプレイの面からいうと、我々がEP1で行った変更のような、静的なゲームデザインの決定を行えるようになった。我々は現実世界での出来事を監視できるように、つまり、桁違いの規模でのプレイテストが可能になったということだ。我々はまた、コミュニティが関与できるCSの武器価格のような動的システムへの導入にも興味を抱いている。

また、フリーウィークエンドやゲームパスもある。これは広告を追加したり雑誌の取材を受けるよりも遙かに効率的なものだ。我々はより多くの帯域を費やしてより多くのユーザへゲームを提供することも出来るし、広告業者を雇ってキャンペーンを張り、ワイアード・マガジンに掲載することだって出来る…。ユーザはよりいっそう優れている。ゲームパスは、過去における間接的な関係よりも優れた方法なのだ。

Peggleの成功は予測できたか
Gabe: Peggleは素晴らしい!あなたは(Steamの)Valveグループを見たことがあるのかは知らないが、今のところ我々が二番目にプレイしているゲームになっている。人々の間で何が流行っているのかを見るのは楽しい。そこで学ぶことがある。我々はユーザよりも洗練されていない、ということだ。それはちょっとした驚きだった。

より小規模でカジュアル的な方向性を模索しているのか
Gabe: (ゲーム開発者にとって)最悪だった時代は、ファミコンのカートリッジの時だ。それは非常に大きなリスクを伴うものだった。どこかの倉庫にあるシリコンにその全ての資金を拘束されるので、意志決定に用心深くなっただろうし、契約する知的財産(IP)にも非常に保守的になり、アートの方向性も一定のものとなる、等々、といったことだ。今は全く正反対のものとなっている。我々はSteamに何かしら掲示し、世界中の人々に配信をして、変更を行える。我々はより興味深いリスクをとることが出来るのだ。小売りでは、フィルタ関数のようなものとなっている。人々は商品が返品されるのを嫌う。返品されると、その全ての資金を無駄にすることになる。Steamではダウンロードされなかった場合、我々が失う資金は何もない。返品を要求された場合、お金を返せばいい。この新たな世界では、今までは不可能だったことが出来るようになるのだ。

印刷物の雑誌はそうした古くからのマーケティングや販売業務に縛られているため、苦心している。CSは印刷物の雑誌よりもオンラインの方がずっとわかりやすい。広報担当が間近で説明でもしなければ、彼らはその対処法を理解しなかった。どうやら印刷物は大きく後れをとっているようなのだ。

雑誌の中には旧作などにページを割いて解決しているところもある。Steamで多くのオールドゲームを目にするのは素晴らしいことだ
Gabe: 小売りはそういったゲームにどう対処すればいいのかを知らない。Steamには陳列棚のスペースの制限がない。世の中には多くの旧作や身寄りのないゲーム(orphaned game)があるので、素晴らしいことなのだ。そういったゲームを、私はプレイしたい。TF2のベータが開始された日、私は自分の会社でQuake1をプレイし、「おい、これはすごい面白いぞ!」と言っていた。私は長い間、自分のQuakeのディスクをどこかへやってしまっていた。しかし、今ではそれがSteamに現れ、プレイが出来るようになったのだ。

より多くのオールドゲームに期待できるのか
Gabe: ああ、そうだ。我々は過去にさかのぼり、やがては今までのほぼあらゆるゲームが常時利用できるようになることだろうと思う。

かつてのLucasArtsのゲームは
Gabe: もちろんそれらは大変素晴らしいゲームだ。ただ、先行きが不透明になり、会社が手を引いてしまった、という現実問題がある。そうした事は、事態を難しくさせる。

Steamで再び90年代のゲームが流行れば、LucasArtsはStarWarsへの傾倒をやめるだろう
Gabe: 我々が回帰して何がよかったのかを思い出す機会でもあれば、それはゲーム開発者にとって重要なことなのだ。つまり我々が毎年E3を訪れ、その時話題になっているもの(flavour of the month)があると、それを四百回繰り返されるのを目にする、ということだ。だからそれは、我々全員がゲーム業界の初心に立ち返りプレイすることが出来る気分転換なのだ。

SteamでHexenをプレイしたが、上下を見渡すことなどにおいてFPSゲームがしてきたことに気づかされた
Gabe: Ultima Underworldも加えられたらよかったのだが。それは現世代のゲームデザイナーには無視されている、私の考えるゲームなのだ。また、Shadowcasterというゲームがある。私以外にプレイした人間はいないようなのだが、それは管理することの出来るリソースのある、各所へ移動可能な一人称のゲームであり、非常に洗練されたものだった。そこから学ぶべき教訓は数多くある。プレイしていて楽しいゲームだし、今日において目にする数多くのものよりも有益なコンセプトがそこにはあるのだ。

会社でBioshockのプレイを禁止したらしいが
Gabe: 我々は仕事をしなくてはならなかったのだ。Bioshockは我々全員の気を散らすには十分のものだ。360版の査定に入った際、全員が製品を手に入れた。

今ではSteamで誰がプレイしているのかが正確に分かる…
Gabe: 会社全体に渡って…

非常に便利なものだろう。あなたはBioshockをFPSジャンルの批判と見ていたか
Gabe: 気持ちの上では、我々はKenと彼のチームの思想に入れ込んでいる。いくつか似た方向性で押し進めていることに我々は興味を持っているし、Kenのチームが成してきたことを目にするのは興味深い。

Orange Boxのゲームには今までのHLにはないおかしさがあるが、Valveにとってユーモアとはどれほど重要なものなのか
Gabe: 個人的に言えば、私は対象に幅を持たせることを好んでいる。一部の要素にリアリティを持たせることで、他の部分がより心に響くインパクトを持つようになる。Gordon Freemanの出勤からスタートするのがその理由だ。11時に何か始めようとしても、どこにも行く余裕がなくなってしまう。ユーモアはストーリー性のある体験を形作る上で、感情を操る手段として極上の価値を持つ。ホラーでもラブストーリーでも、そこに混ぜる上でコメディは非常によい構成要素となるのだ。ユーモアにおける問題は、そのできが悪ければ驚くほど有害なものになってしまうということだ。私が心配しているのは、コメディの限度を超え不条理なものにしてしまうことだ。ただ、我々は他の物事に加え、コメディの表現法に対する腕も上げているようだ。出来れば今後もうまくやっていきたいものだ。我々の脚本家チームには極上の価値がある。むしろ執筆に寄与する人々だ。我々は今のところ、専門のチームというものを設けていない。

Valveにいる者達が新たなコンセプトをもたらし物事を前に進めるのを目にするのは、興味深いことだ。あなたは全く知る由もないだろう。財務を行う(doing finance)新たな人員を迎え入れ、我々が(TF2の)Soldierのデモムービーで成してきたことに寄与する、とある興味深いことを彼が行ったことを。あなたはあまり知る由もないだろう…。

六ヶ月以内にValveはマイクロソフトかEAに買収される、と決めてかかる(馬鹿な)友人がいるのだが…
Gabe: 私はそのどちらも買収する気はない、と彼に伝えてくれ。

Comments

Kusa on 2007-12-01 at 22:13:42

最後の受け答えに関しては、
Kim Swiftとのインタビューであったようなやりとりですね。

http://fov120.net/item/1561
買収したスタジオを数多く駄目にしてきた悪名高いEAと提携したが、Valveは身売りでもするつもりなのか、一体今何が起こっているのかを教えてほしい
Kim Swift: (冗談めかしつつ)私の知る限り、ValveがEAを買収する計画はありません。

crash on 2007-12-03 at 15:18:36

>>ValveがEAを買収する計画はありません。

lol

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