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クロウバーをたずさえて - The Final Hours of Half-Life 2 日本語訳

http://www.gamespot.com/features/6112889/p-21.html

 その奇妙なメールは、2月15日 PM 6:18にGabe Newellの受信ボックスに届けられた。この"Da Guy"を名乗る人物からのメールは、件名には何も書かれていなかったものの、本文は詳細に富んでいた。メールは"Hello, Gabe,"と切り出されていた。そして差出人は、自分こそがValveのネットワークに侵入したハッカーであると名乗りを上げる。Valveのネットワークに6ヶ月もの間侵入し、ゲームの開発状況を毎日のように見ていたという。またハッキングによってValveを傷つける意図は無かったと主張していた。前作の凄いファンなので、Half-Life 2の開発状況を観察したいだけだったと。そしてさらに信じがたいことに、Newellとチームの驚異的な開発技術を褒め称えてさえいた。

 最初Newellには、このメールがひどいジョークなのか、真実の告白なのかの判断がつかなかった。だがメールには、この差出人が問題のハッカー本人に他ならないという証拠が付けられていた。Valveのネットワークから盗まれた、未公開の2つのファイルが添付されていたのだ。そのうちひとつは、2003 年E3デモの詳細を記したMicrsoft Wordの文書ファイル。十分な証拠だった。この"Da Guy"こそValveを苦しめた元凶なのだ。

 Newellは最初こう思った:「今からクロウバーを持って、飛行機でそっちに行ってやる」

 だが、Newellは抜け目が無かった。ハッカーに調子を合わせることにしたのだ。そして2日後のPM 5:39に返答を出す。できるだけ平静で落ち着いていると思わせるため、メールに感情が滲まないよう最大限の注意を払った。
 「腹を空かせた子供たちのために、チキン焼きそばを買って家に戻らないといけないんだ。でも添付してくれたファイルには、今夜目を通すよ」

 そしてこの短いメールは、"Da Guy"への質問で締めくくられていた:「謎を解き明かしてくれたのはクールだよ。でも、なぜ今になってそんな事を?」

 それからの数週間、Newellと"Da Guy"のメールのやり取りが続いた。
 「"Da Guy"はありがちなハッカー的思考をする奴だった。盗まれるようなら、それは盗まれる方が悪いんだ、という発想さ」
 そこでNewellは、ハッカー的な論理に同調するふりをした。Valveのネットワークに侵入できたなんて優秀だよ。それだけ優秀なのだから、Valveへのネットワーク攻撃を防ぐスペシャル・セキュリティ・コンサルタントとして、ぜひ働いてもらいたい、と。

 "Da Guy"は驚喜した。Newellは自分の雇用を申し出ている。しかもワシントン州BellevueにあるValve本社でのポストだ。

 メールのやり取りが続き、"Da Guy"(南ドイツBaden-Wuerttemberg州出身の"Axel G" 21歳だと、Newellの知るところとなった)は、BellevueにあるValve本社で行われる採用面接に旅立つ準備を始めた。信じがたいことに、 "Da Guy"はNewellに、父と兄を一緒に連れて行って良いかと尋ねてさえきた。Newellは「それは素晴らしい」と答え、さらにはみんなをValve のツアーに招待することまで約束した。

 もちろん、本当に採用面接をするわけがない。Newellはハッカーを昔ながらの罠に掛けたのだ。"Axel G"がシアトルで飛行機を降りるや否や、待機していたFBIが逮捕するという段取り。しかしその計画は、直前で変更された。Newellの策略をドイツ政府が聞きつけたのだ。ドイツ政府は、ドイツ国民をアメリカにおびき寄せて逮捕させるというValveの計画に反対した。ドイツ当局は、自らの手で逮捕したかったのだ。そしてそれは実行に移され、春にドイツで"Axel G"は逮捕された。そして今では、Valveへのハッキングに留まらず、Phatbotワームを含む多数の悪質なウィルスの開発の罪にも問われている。
 「ほんとうに悪い奴だよ。ウィルス配布を効率化するハッカー用のツールまで作っていたんだ。プロテクトされていないIPアドレスを見つけ出して、10万台のマシンにバラ撒くような」

 "Axel G"の逮捕により、誰がどういう理由でValveをハッキングしたのかというミステリーは解き明かされた。しかしプロジェクトには、もうひとつのミステリーが残されていた:はたしてHalf-Life 2は面白いゲームとなるのか?

 最初から最後までプレイ可能なラフなバージョンができることで、3月のはじめにはこのミステリーにも答えが出るだろう。はたしてゲームは傑作の様相を見せてくれるのか、あるいは前作で作り直しが必要となった時のようにパッとしない出来なのか。どちらに転ぶのかは、誰にも分からなかった。Half-Life 2の運命が天秤に掛けられようとしていた。

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The Final Hours of Half-Life 2 Japanese

ARTICLE INFO

Date : 2005-05-15
Author : fov120
News Category : HL2 content
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